平成女犯坊「魔僧復根編」


「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
 さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
 マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
 汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
 スカートのプリーツは乱さないように、白いセーターカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
 もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。

 私立リリアン女学院。

 明治三十四年創立のこの学園は、もともと華族の令嬢のためにつくられたという、伝統のあるカトリック系お嬢さま学校である。

 東京都下。
 武蔵野の面影を未だに残している緑の多いこの地区で、神に見守られ、幼稚舎から大学までの一貫教育が受けられる乙女の園。

 時代は移り変わり、元号が明治から三回も改まった平成の今日でさえ、十八年通い続ければ温室育ちの純粋培養お嬢さまが箱入りで出荷される、という仕組みが未だ残っている貴重な学園である。


「乙女の園。 聞いただけで勃起するわい」
 リリアン女学院の校門を眺めながらそう呟くのは、僧衣に身を包んだ巨漢である。
 この男、竜水。
 女犯経なる淫教の教えを説いて幕末の世を乱した破戒僧である。
 さて、何故幕末の怪僧が現代の女学校の前に居るのか。

 遡ること数日前……。

「念彼觀音力」
「或被惡人逐」

 地の底から響くような念仏が澱んだ空にこだまする。
 リリアン女学院の隣に位置する男子校、花寺学院。
 仏教系の学院であるこの花寺学院の高等部体育館地下にて、密教部の部員達は密かに入手した弘法大師・空海の遺骨を以てかの偉大な高僧を現代に甦らせようという儀式を行っていた。
 それはかつて冬木市にて行われた聖杯戦争のサーバントシステムを密教の秘儀で代用しようという試みである。
 彼等はこの末法の世を復活した高僧の手で正しく導こうというのだ。
 しかし、いかに崇高な目的を持っていても、儀式を行うのは長年修行を積んだ僧ではなく、現代の高校生である。
 若い煩悩に未熟な技術と未熟な信心。
 どういった不純物が混じったのかは定かではないが、儀式は不完全に成功し、怪僧竜水をこの世に甦らせたのだ。

「ガハハハハッ! わしは不滅よ!」
 もうもうと立ち込める護摩の煙の中、屈強な大男が新たな生を受けて産声を上げる。
 仰天したのは密教部員達である。
 枯れた老僧の出現を予想していたところへ、屈強な大男が出現したのである。
 男は全裸。しかもその巨大な逸物は天井裏の忍者を貫く槍の如くそそり立っている。
「あ、あの……あなた様は弘法大師さまでしょうか……」
 嫌な予感で一杯になりながらも、恐る恐る尋ねる密教部員。
「弘法大師だと?
 そんなものは知らん、わしは竜水だ」
 答えを聞いた部員達の背筋が凍った。
 竜水。
 魔人、怪僧、妖僧、女犯坊、様々な異名を持つ淫祠邪教の頂点に立つ男。
 空海でないだけならまだしも、よりにもよって最悪のカードを引き当てたものである。

 花寺学院はその日のうちに竜水に掌握された。

 生徒会長である福沢祐麒をはじめとした生徒会役員たちは、この危険な僧を地獄へと追い返そうしたが、尽く返り討ちに遭い、ある者は竜水に屈服し、またある者は戦いの中でその若い命を落とした。
 これを受けた一般生徒や教職員たちはある者は恐れをなし、ある者は竜水の強烈なカリスマに惹かれ、結果殆どの生徒が竜水の配下となる事を承諾したのである。
 それから僅か数日の学習で、現代の情勢をすっかり把握した竜水はニヤリと笑って呟いた。
「ふむ、中々に乱れた世の中よ。
 どうやら再び世直しの魔羅を振るう必要がありそうだのう」 

「若き益荒男諸君、目下の敵はリリアンである。
 若い娘が魔羅の味を知ろうともせず、スールだのブゥトンだのと娘同士でけしからぬ遊びに耽るとは、なんとも嘆かわしい。
 男根と女陰、これこそが宇宙であり生命の源である。
 ここはひとつ、わしらで男の味を教え、極楽浄土に導いてやろうではないか!」
 体育館に集められ、竜水の演説を聴かされていた男達の喉がグビリと鳴る。
 リリアンの女学生達を犯す。
 それはとても魅力的な提案である。
 名門、しかも仏教系の花寺学院とはいえ若い性欲を持て余した男達に変わりはない。
 いや、仏教系であるが故に日頃から煩悩を抑えるよう教育されてきた男子校の生徒とあらば、溜まった鬱憤は計り知れまい。
 竜水のこの提案は一部の良識派を除く生徒達に歓喜をもって迎え入れられた。

 こうして戦争が始まった。

 戦いは混迷を極めた。
 たかが小娘。問答無用で攻め込んで行って男の腕力を見せ付けてやればすぐに屈すると踏んでいたがなかなかどうして。粘り強く抵抗する。
 校門前にて物陰に潜んで写真を撮っていたスパイと思しき眼鏡の娘を捕え、その場で組み敷いて乙女を薔薇を貫いていた竜水の元へ花寺の雑兵生徒が駆け寄り、戦況を報告する。
「和尚様、思いの他抵抗が激しゅうございます。
 流石は良家の子女と申しますか、武道を嗜んでいる娘も多く、結構な被害が出ており……」
「なに、所詮はおなごの細腕よ。
 征けい益荒男ども! 恐れずに突き進め!」
「ウォォォォォォッ!」
 竜水の鬨の声を受けて、地響きを立てて押し寄せる男達、いやオス達の群れ。
 多少武道の心得があったとしても、蝶よ花よと慈しまれ育ってきた温室育ちの純粋培養お嬢さまはひとたまりもなかった。
 こちらでは泣き叫ぶ娘を暴力で屈服させ、複数で群がっては柔肌に魔羅を押し付ける男達があり、あちらでは数人の娘を柱に縛り付けて代わる代わる貫く男があり、天使のように無垢な乙女達の集うマリア様の庭は、そこかしこで乙女の花が散らされる暴虐の地獄と化していった。

「よいか者ども、薔薇さまとかいう娘どもとそのスールどもはわしが頂く!
 敵の本陣、薔薇の館とやらへ案内せい!」
「へへえーっ!こちらでございます和尚様!」
 ひぃひぃと悶え泣く眼鏡の娘、蔦子を貫きながらのしのしと歩く竜水が案内されたのは、吹けば飛ぶような木造の古い建物。
 その建物の周りには何人もの屈強な男子生徒が取り囲み、水も漏らさぬ包囲網を形成していた。
「ふん。このような掘っ立て小屋、わしの金剛力で捻り潰してくれるわ」
「お待ちください和尚様。それでは薔薇さま達が無事では済みません」
「ムッ!確かにのう……では扉をぶち破って押し入るか」
 言うが早いか竜水は女陰から淫水と子種を溢れさせぴくぴくと痙攣する蔦子から萎える事のない魔羅を引き抜くと、その肢体を無造作に投げ捨てて薔薇の館の扉に手をかける。

 その刹那。

 二階の窓ががらりと音を立てて開き、同時に竹刀を持った少女が弾丸の如く飛び出して上空から竜水へと襲い掛かった。
 黄薔薇さまこと支倉令である。

「とぉぉぉりゃあああああああああっ!」

 裂帛の気合と共に少女の振るう竹刀は爆竹の破裂を思わせる音を立て、ちょうど上を向いた竜水の喉を打った。
 大の男でも悶絶する必殺の剛剣であったが如何せん相手が悪すぎた。
「おお、まずは女剣士から頂けるのか。棚から牡丹餅とはこの事だわい」
 竜水は令の剣撃を意にも介さずニヤリと笑い、少女剣士の引き締まった肉体を貪らんと挑みかかっていった。
「ひぃぃぃっ!」
「ガーッハゥハッハッ!」
「そこまでぶり!令ちゃんを放すぶり!」
「何奴!」
「悪党に名乗る名前はないぶり!ぶりぶりぶりぶり!」


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